敏感肌用コスメって、どうやって刺激の有無をチェックしてるの?


薄肌は、まだ十分に解明されていない繊細な肌領域。
「スキンケア実験室」では、
化粧品開発歴10年以上のわたくし「こうじ先輩」が、
薄肌ねえさんの肌を科学的視点から分析することで、
薄肌について探求していきます。
今回は、「敏感肌用コスメの“低刺激性”って、どうやって確認しているの?」というテーマで解説します!
「敏感肌向け」と書かれていても、
肌がゆらぎやすい時期にはちょっと不安…ということ、ありますよね。



「低刺激処方」とは一体どんなことを指すのか?
また、肌に刺激がないことをどうやって検証しているのか?
こうじ先輩、教えてください!
そもそも、「低刺激処方」ってどういうこと?
“低刺激処方”とは一般的に、
バリア機能が落ち、外部刺激に対して過敏に反応してしまう“敏感肌”の方でも
使いやすいよう処方設計された製品のことを指します。
実は、“低刺激処方”には、明確な決まりがあるわけではなく、
各社それぞれの定義や基準に基づいた処方を施したものをそう呼んでいるのです。
具体的には、肌への刺激となりやすい成分を極力排除した処方や、
バリア機能を改善するような“キー成分”を配合したような処方となっていることが多いですね。



ちなみに、刺激になりやすいと考える成分も、
各社それぞれによって異なるんですよ。
よく見かけるものとしては、アルコール(エチルアルコール)、パラベン、香料、着色料などがありますね。
刺激の有無は、どうやって確かめるの?
では、その“刺激がない”ことって、どのように確認するのでしょうか?
一般的には、試験機関による皮膚試験で評価をします。
今回は、「パッチテスト」と「スティンギングテスト」について解説します。
よく聞く「パッチテスト」ってどんなもの?
パッチテストは、皮膚に接触する物の、刺激性の有無を調べるための試験です。
具体的には、製品を含ませたシートを一定時間皮膚に貼り付けて、肌の反応を観察し、
製品を塗布した部位と、何もしていない対照部位とを比較して、
赤みやかゆみなどの刺激の有無を評価しています。
また、敏感肌傾向にある人を被験者として実施する「敏感肌向けパッチテスト」を行う場合もあります。
「スティンギングテスト」って何?
スティギングテストとは、製品を使用した際の『かゆみ、ぴりぴり感、ひりつき』
などの“一過性の感覚刺激”を調べるものです。



ちなみに、スティンギングとは、“ピリピリ感”のことを指します。
具体的には、スティンガーと呼ばれる“皮膚刺激を感じやすい人たち”を被験者とし、
頬などに製品を塗布したあと、感じた刺激を4段階の中から自己評価してもらい、
試験スコアのよかった製品を低刺激として打ち出せると判断する試験方法です。
パッチテストとは反対に、使用者の主観的な評価が現れる試験ですね。
刺激が出たらどうなるの?
テストの段階で刺激反応が一定数以上認められた場合、
その製品は「低刺激処方」と訴求して市場に流通させることはできません。
敏感肌向け製品や低刺激処方は、
テストの通過が商品化に直結する重要なポイントなのです。
このように、試験で刺激が見られた場合、
メーカーは処方の内容を見直し、改良を重ねて再試験へと提出することを繰り返します。



または、製品自体がお蔵入りなんてこともあります。
「敏感肌用」としての信頼性は、どう担保してるの?
各社の処方の基準や定義には差がありますが、
第三者機関での安全性評価や、実施された試験結果などをもとに、
「敏感肌向け」としての信頼性を高めています。
また、各社それぞれ“敏感肌”の方のお肌の特徴や、肌への安全性への研究を日夜おこなってますので、
その研究結果を精査しながら処方設計をしているということも担保の一つでしょうか。
それでも過信は禁物?
企業が努力を重ねて開発し、安全性試験をクリアした製品だとしても
過信は禁物です。
残念ながら、どんな皮膚試験を実施していても、
すべての人に必ず刺激が起きないというわけではないのです。
これは、人間の皮膚には個人差があるためです。
あくまでも、多くの人に対して刺激が起きづらいものと認識しておき、
ご自身のお肌に合わないと感じた場合には、迷わず使用をやめましょう。
薄肌ねえさんの感想
テストと聞くと少し構えてしまいますが、
「実際の使い心地に近い環境で、肌への影響をきちんと確認している」ことが分かって、安心感が持てました。
「低刺激=絶対に刺激が出ない」ではないけれど、
「多くの人にとって安心できる使用感を、ちゃんと検証してつくっている」ことは確かなんですね。
肌がゆらぎやすいときこそ、こうしたテストを通った製品かどうかを
1つの選ぶ基準にするのも良いかもしれません。
おわりに
今回は、「敏感肌用コスメの刺激チェックってどうしてるの?」というテーマで、
開発部のこうじ先輩にお話を伺いました。
次回も、ちょっと気になる肌のギモンを、専門家と一緒に深掘りしていきます!